本校は今までAFSから留学生を5名受け入れてきました。AFS以外でも、2週間程度の短期から1年に渡るまで、毎年数名の留学生を受け入れています。
なぜ留学生を受け入れるのか?それは、海外の生徒と接する時間、あるいは英語でコミュニケーションをとる時間が、特別な時間ではなくごく普通の日常であると思えるようになってほしいと考えるからです。とはいえ、多くの留学生を受け入れられる訳ではなく、現実には留学生の受け入れクラスや所属部活動でなければ、生徒一人一人にとって、それが日常となるにはまだまだほど遠い状態です。足りない部分は、相互訪問の国際交流や修学旅行、国際高校生シンポジウムなどのプログラムで補います。少しでも多くの生徒が、少しでも多くの時間、多様な文化や考え方、英語のコミュニケーションにチャレンジすることを経験してほしいと思っています。
2020年の初頭から始まった世界的なコロナ禍の中、多くの人々が大打撃を受けています。学校現場も例外ではなく、というより最も失われたものが大きく、またお金やハードウェアのような形で目に見えないため、最もそれが見えにくい場所かも知れません.特に、国際交流はその最たるものです。しかし、このような情勢でも、貴重な高校生活は続いています。本校にも数名、フランスやアメリカ、シンガポールに留学した生徒がいます。また、AFS留学生としてベトナムから、今年度はインドから女子生徒が本校に参りました。このような逆境でも異文化の中で学びたいという姿勢には、本当に頭が下がります。また、その姿は少なからず、本校の生徒や教員にも影響を与えています。
私事ですが、本来は1年間留学できたものが、コロナ禍で半年も留学できない彼女たちに少しでも日本のことを知ってほしいと考え、ホストファミリーを引き受けることにしました。とはいえ、本校の留学は寮生活がベースのため、自宅へ食事に招待したりどこかに連れて行く程度のものです。今年はインドからの留学生リシタの面倒を見ています。11月本庄早稲田駅で初めて会ったおり、「Is there any place in Japan you want to go to?」と聞きました。そのとき彼女はこう答えました。「Hiroshima」。私は聞き返しました。「Why do you want to go to Hiroshima?」「Because I want to think about nuclear issues and world peace.」私は、その回答に驚きました。ディズニーランドや渋谷などという回答がくるものとばかり思っていました。同時に、短い間だが学校で色々な経験をさせてあげたい、とも思いました。
彼女は現在、色々なことにチャレンジしています。授業の課題にも、クラスの生徒と同様に取り組みます。生徒たちに向けてヒンズー語の講座を自ら開いたり、オンラインの国際高校生シンポジウムで研究発表もします。茶道や書道にもトライしています。このような姿勢は、生徒たちを刺激します。単に留学生が滞在校で授業を受け、日本文化を経験する。これだけが留学の目的ではありません。お互いがその文化を理解するとともに尊敬し、相互に影響し合うこと、そしてその関係が未来につながるという大きな意義がそこにはあります。
私は、リシタが将来国際舞台で、一緒に学んだ本校の生徒とともに、世界が抱える難問の解決に尽力する、そんな姿を夢見ています